荷造りは深夜まで続いた。
そもそも海外出張なぞ初めてのことであるので、
どんな服装で行けばよいか、という基本的な事からして全くわからない。

そうこうしているうちに午前1時を回ってしまったが、
何とか必要と思われるものは持ち、いらないだろうと思うものはリストから外した。
ばこん!
体重をかけながらスーツケースの錠を掛け、ワイヤーでぐるぐる巻きにして南京錠を掛ける。
「よっしゃ。準備完了!」



「ぼくは・・・?」
気配のする方を見ると、セカンドバッグが取り残されている。

「うぐぅ。。またやり直しかい」

シリンダー錠を「355」に合わせる。
・・・??

あ、開かねぇ・・!

15年間酷使してきたスーツケース。
まさか出発直前で壊れるとは。

まあ、空港で壊れるよりはマシだったが、思いつく限りの番号でも開かないところを見ると、
本当に壊れたらしい。


こうなっては仕方がない。

バール様の登場である。


隙間をドライバーでこじり、バールを突っ込んだところ・・・

一撃でオープン(ぉ

全然だめじゃん電子ロック。

当時珍しい電子ロック機構付きってのに惹かれて買ったにもかかわらず、
バール一本で開いてしまう君って一体・・・

しかし、今さら新しい物を買いにいく時間もないので、
このままいくことに決定。
作った当初はオーバーかなと思ってたが、まさかステンレスワイヤ&南京錠が
こんなにありがたく思える事態になるとは。

トップページをお留守番バージョンに変更して就寝。

出発前からネタに困らないってトコが、
今後の伏線のようで怖い。

IAA2001(FRANKFURT MOTOR SHOW 2001)
1日目:移動(2001/09/08)

出発の朝。
6時起床。

台風が心配であったが、予想外の快晴。
早々と朝食を摂り、家を出る。

植田駅までの数百mが、倍くらいに感じた。
さらに地下までの階段。

やっとのことで地下鉄に乗ったときには、
すでに旅程の3割分の体力を消耗した心地である。

鶴舞でJRに乗り換え、名古屋駅へ。

身障者用のエレベータがこんなにありがたいと思ったのは初めてである。
だが、ホームの隅に追いやられていたりしているこれらを心から必要として
利用している人々は、心理的に追いやられた気分になると思うがどうだろうか。

7時48分発のひかり177号で新大阪に向かう。
そのまま「はるか13号」に乗り換え、関空着は10時03分の予定である。

列車は定刻に到着した。

すぐにJALの国際線チェックインカウンターを探す。

「うわ、団体客が並んでるわ・・」
まいったなぁと思いながら列の最後尾に並ぶ。

予想に反し、割とすんなりと順番が回ってきた。
搭乗券を見せる。

「あ、これはエグゼクティブクラスなので向こうのカウンターになりますね」
「あ、そうなんですか」

JALカウンターのお姉さんの示す先には、全く待ち時間のない専用のカウンターが・・・

カッコ悪っ。

エグゼクティブクラスのカウンターで、搭乗券とパスポートを見せる。
重量計の指示値を覗き込んだら、23.5kg。
しかも、ノートPCと分厚いファイルは機内持込なのでこれには含まれていない。
おい、往きからこんなんで帰り大丈夫か。
(普通、往きは15kgぐらいで、帰りが20kgぐらい)

数年前の学会で行った研修旅行の時の悪夢が頭をよぎった。
帰りの荷物が47kg(預け分のみ)になっていたあの時。
機内持込も15kg以上あったと思う。
しかもそのほとんどはジュネーブモーターショウのカタログであった・・・

「・・・では、通路側の26Hになりますね」
「あ、どうも。」
チェックインを済ませ、ようやく重いスーツケースから解放された。

「ところで、さくらカウンターのご利用方法はご存知ですか?」

「え?木○本さくらのコス着(自主規制)カフェラウンジがあるんですか?」
と、喉まででかかった言葉を飲み下し、
「いえ?」と、かろうじて正常な応答をする。

「シャトルを降りて45番ゲートのすぐ隣になります。こちらをご参照ください」
と、小さな地図をもらう。

着いた所は、ウッド調の大きなドアのあるラウンジ。
窓がないので、中の様子は全くわからない。
(ぼくはこういう雰囲気に弱い)

うお。
これがあれか、選ばれし者の集うアレか・・・

ラウンジの入口で、搭乗券を機械に通してもらう。
こうすることで、万一くつろぎすぎても呼び出してもらえるというわけだ。

セルフサービスでドリンクとお菓子が自由。自由に使えるコピー機もある。
会議に使う資料を人数分用意するのを忘れていたので丁度良い。

さらに、テーブルのうち幾つかにはモジュラージャックまで用意されている。

入口近くにカード式電話があり、最初は
「テレカ買ってこれでやるしかないかな〜でも、有料じゃやる気せんなぁ」
と、ワガママなことを考えていたのだが、タダと見るや態度が変わったみずにー。

出発前のネット徘徊は諦めていたのだが、ケーブルだけはカバンに入れていて幸運だった。

というわけで、風さん他時間がある限り書き込みに行く。

どんなに安くても、タダかそうでないか、はぼくの中ではずいぶん違う。

そうこうしているうち、搭乗手続が始まった。

「そろそろ行くかぁ」

ぼくの去ったテーブルには、クッキーの空袋が山と積まれていた・・・

こういう撮影は、中に入らないとなかなか・・・ いろんな国の機体がありますね

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なんか違和感があると思ったら、

洋上空港なので背景が空しかないんですね

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航空機は詳しくないので

とりあえず撮りまくり。

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離陸後。ぐるぐる旋回しながら高度を上げていきます。
梅田のあたりですかね?

大阪上空。どこかな〜?

さて、いよいよ搭乗。
乗り場もエコノミークラスとは別である。

席が広い!サンダルがある!テレビが付いてる!うおーこの座席ヘッドレストまで動くぞ!


すいませんビジネスクラス初めてなもんで。

今の心境を表現するなら、「貧乏人が一夜で億万長者になって召使い付きの大きな屋敷に迎えられた気分」というのが最も近い。

そういう気分なので、食事なんぞも全部写真に収めている。
周りみんなが洋食選んでる中、和食を選択。何をどうやっても一人浮いてしまうのは宿命なのかもしれない。

たまたま隣が空席なのもあって、全ての食事を写真に撮ろうがこんな日記を書いていようが
それが原因でバッテリー切れになりかけて慌ててスチュワーデスさんにバッテリー持ってきてもらおうが、さほど恥ずかしくないのである。

最初はパリに行くウチの上司(次長サン)と同じ便(成田〜パリ〜フランクフルト)だったのだが、巧妙な手を使って自分の便を関空〜フランクフルトにすりかえたのだ。

もし一緒だったら、ぼくのこれまで会社で築いてきたイメージが・・・・

かわらねぇか。

というわけで、気を取り直して続けるとしよう。

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オードブルは和洋共通

味付けもすごくいい感じだった夕食

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デザートの紫芋エクレア。

夜食とも朝食とも言える時間の味噌カツ丼。

で、映画は「メキシカン」である。
噂どおりであった・・・・
「ザ・ビーチ」より数百倍はマシな映画だったが、やはりレンタルで十分な作品だった。

んで、今上映中なのが「ジャスト・ビジティング」。
手元のTVでは、途中から「ダウン・トゥー・アース」を見たが、これはなかなか面白かった。
アメリカ人ってこういうネタ、ホントに好きだよね。というのがぼくの総評。

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飛行機がこの辺に来た頃に、さっきの食事が出てきました。

で、着陸1時間前になると、昼食みたいなしっかりした食事が。
これを食べ終わり、しばらくすると着陸態勢。
昔は何ともなかったんですけど、最近はどうもこの、着陸時の高度低下がつらくて。
「酔う」まではいかないんですけど、ちょっと勘弁してほしい程度というか。
とりあえずシカトするため寝ることに。

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・・・!
偶然目が覚めた時には、もう着陸寸前。
でもなんとかメッセの写真を撮ることに成功。
で、でかい・・・・
右にあるタワービルから左全部が会場!横の長さは1kmはあるかも。

フランクフルトは国際空港とは言っても所詮は地方都市。
ルフトしか居なかったです。

入国手続きはすごくラク。全然混まない。
さらに、ここで乗り換えの人が多いようで、入国審査は1番だったし10秒で終了。
荷物も出だしの10個目で出てきたので、待ち時間なし。

クソ重いスーツケースを引きずりながらゲートを出る。

どこを見ても、ドイツ語が先に目に入る。次に絵文字。

・・・が、ペーペー独りなので迎えは来ないことになっている。
自力でホテルに向かうべく、タクシー乗り場を探す。

タクシーの運ちゃんに住所を紙に書いた地図を見せて、ホテルに向かう。
ベンツのC220かな?よく見かける形だ。当然マニュアル。
運ちゃんはイタリア系なのか、ドラマ「ER」に出てくるダグラス・ロスみたいな顔つきの人だ。


で、前の席のほうが広そうだったので聞くと、「どっちでもいいよ」と言うので
前に座らせてもらう。

だが、普段左ハンドルの車に乗っているだけに右側に座るのはどうも落ち着かない。

高速の合流でぼくまで後ろを確認してしまうのはまあ置いといて・・・

工事が多いからか、ぼくに気を使ってくれたのか、アウトバーンの端っこを
80〜100くらいで流してくれる。

10分ほど合流や乗換えを繰り返し、インターを降りる。
中心部からちょっと離れた場所。
いかにも郊外って感じの(ちょうど名古屋から見た豊明みたいなものか)いい雰囲気の町である。

チェックインして、部屋に向かう。
ドイツ人の英語は、一回聞いただけでは理解できない。さすがにこれには焦った。
これから1週間、こういう英語でしか会話できないのだ。
ちゅうか、ぼくの英語力の問題か。

部屋でまず探したのは、モジュラージャック。
ドイツ式のモジュラーを、アダプターを使って変換し、モデムに接続。

AOLは割高だが、ちょちょっと設定かえるだけでどこでも繋がるので重宝する。

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Lindner Congress HOTEL
朝食付きで一泊14000円くらいしました。
モーターショウの時は倍の値段だそうで・・・

部屋から見える風景。
上着がないとちょっと・・ってくらいの気温です

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早速部屋のセッティング。ここで4泊します。
チップ要らず、ベッドサイドにミネラルウォーターとチョコレートを毎日置いてくれるという、サービスの行き届いたホテルです。

まもなく日没。サマータイムなのでこれで午後7時くらいなのです。

先発で来ている人と合流し、打ち合わせのあと夕食。
それが終わったのが現地時間の23時(日本時間朝6時だよおい)

寝る前に一通りネットを巡回して、寝る。

とにかくこんなんで無事に調査できるか、はなはだ心配である。

(1日目終了)

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