コペンの不完全修理箇所修復作業


怪しい中古車店で購入したコペンの調子が悪いということで、当方に入庫いたしました。
とりあえずエンジンルームからチェックを始めたのですが、突っ込みどころ満載、偽装のオンパレードでした。
人気車種の中古車には、こういうものもある、という良い例です。

一見綺麗な車ですが。。。

フロントサスタワーのキャップを取ると、
年式の割りに酷く錆びています。
これは、ボンネットが開いた状態で雨ざらしになっていた証拠。
その割りにボディには水垢ひとつ付いていません。
これは怪しい。

アッパーマウントのベアリングもこのとおり。
左が新品です。当然ですが高い部品じゃないので交換します。

フロントフレーム下部に、なにやら怪しい気配。
パールホワイトの下に別の色が見えます。

ABSアクチュエータの蓋が接着剤で無造作に封じてあります。
これも怪しい。

内装パネルを少し外しただけで、
このクルマが元々赤色だったことがわかります。

右ホイールハウス内側に塗装の浮きを発見。

試しにウエスで吹いただけで、ごっそり塗装が剥げました。
ブレーキオイルが大量に付着したあとを掃除せずに
上から色を塗ったと思われます。

ヘッドライト裏側の配線。捩った線をビニールテープで巻いてあるだけ。
いつ漏電してもおかしくないです。

カプラーすら使わず、極めて杜撰な配線処理。
プラス、マイナスの色分けすら行われていません。

エアコンコンプレッサのネジが1本ありません。グラグラです。

天井の凹み。これはアルミなので板金せずパテ処理します。

ポリパテを盛って、硬化するまで別の作業を続けます。


エアコンの吹き出しが切り替わらないとのことで、
インパネ外してみたら、エアコン室内機が破損しています。
こんな壊れ方をするのは、エアバッグが開くレベルの
大事故くらいしか考えられません。

針金とアルミテープと接着剤で形状を整えます。

バルクヘッド隅には、謎の接着剤が。
溶接機が入れられない部分なので、
接着でごまかしたのでしょう。

運転席側Aピラーには、フレーム修正機のチャック跡が。
相当変形していたものを、無理矢理復元したみたいです。

雨水が浸入して錆びたジャンクションボックス周辺。


取り外したABSポンプ。作動テストしたところ、
4輪のうち2輪しか正常に動作しない状態でした
(つまり、壊れてます)

ムーブ用のABSポンプが互換なので、中古品を手配して装着。
無事ABSが作動するようになりました。

エアバッグが開いた痕跡が確認できたため、
エアバッグECUも交換します。

シートベルトのプリテンショナーもエアバッグ作動により
機能を失っていますので交換します。


エアバッグECUが異常でもメータに表示が出ない理由はこれ。
メーター基板のLEDが削り取られていました。
電球外すとか、そういうレベルじゃないです。
人命を何とも思わない、悪意を感じる改造です。

さきほどのルーフパネルを、さらに整形します。

下塗りの状態。まだ傷が透けて見えますね。

ワイパー下のパネルも破損していましたので塗装します。


完成。

左のヘッドライトがちらつくので、
電球を交換しようとしたのですが、
なんと蓋がボンドで接着してある!
これは何か隠しているな。

中のハーネスも手作りの杜撰なものでした。
電球の熱で溶けてショート仕掛かっていたのが
ちらつきの原因。
既存ハーネスは無視してHIDに組み替えます。



新しくグロメットを追加し、電球交換可能にしました。

全作業時間:約50時間。

修復歴ありなんてレベルじゃなく、
命取られるくらい危険な車でした。

皆さんも、中古車を探す時は、
びっくりさせようとこっそり買うようなことはせず、

身近に居る詳しい人に同行してもらいましょう。

このクルマ、これで終わりではなく、このあと
・パワステポンプケース割れにより交換
・エンジンブロックに亀裂によりエンジン積み替え
と、本当にありえないくらい多くの偽装でいっぱいでした。


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