エアコン洗浄・理想と現実

いよいよ本格的な夏がやってきます。
毎年この時期にエアコンを入れると、
あのイヤなかびくさいにおいに悩まされていませんか?
そんなあなたの車にオススメなのが、エアコン洗浄!
ショップでやってもらうのもいいけど、けっこうお金かかるし。

コツさえ分かれば、プラグ交換より楽です。
さあ、これを読んで、挑戦してみましょう!
ただし、失敗してもぼくに文句言わないでね(ぉぃ

このコーナーでは、エアコン装置の構成および、
においの発生源と洗浄する部位を解説します。


エアコン装置の構成

図1に、自動車用エアコン装置の構成を説明します。
図示左上の空気吸入口から吸い込んだ空気は、直下のブロワモータによって熱交換器に送られます。
熱交換器には、冷風を作り出すエバポレータと、温風を作り出すヒータコアの2種類があります。
一般的に、自動車用のエアコンユニットは除湿も必要なので、まずエバポレータで結露させ、
余分な水分を取り除いた後、ヒータコアを通すことで所定の温度の風を作ります。


図1(a) トヨタFF中級車向けエアコンユニット(セミセンタ式)
(グレーの矢印が吸入空気の流れ。水色がエバポレータ)

一般的には、エバポレータを通った空気は5℃・湿度100%となります。
エバポレータは、フロンガスの蒸発を利用して周囲の熱を奪うことで周囲の空気を冷やします。
ただ、あまり冷えすぎるとエバポレータの表面が氷結する恐れがあるので、温度センサにより
5℃以下にならないよう、動力を入れたり切ったりして制御しています。

エアコンをかけている時、信号待ち等でエンジン回転数が上がったり下がったりするのは、
コンプレッサがエバポレータ出口温度を5℃前後になるようオンオフを繰り返しているためです。
(正確には、コンプレッサON時にアイドル回転数を上げる制御が働くため)

エアコンシステム全体の構造については、こっちが詳しいです。
http://www.denso.co.jp/CARPARTS/japan/product/kucho/auto/auto1.html

エアコンユニットのレイアウトいろいろ

・セミセンタ式

熱交換器が車両センタにあり、ブロワファンが助手席にあるため、セミセンタ式と言われています。
エアフィルタは、車種によって異なりますが、ブロワファンの上流か、エバポレータ直前です。
欧州車では、外気導入口に付いている場合が多いです。

現在ほとんどの国産車がこのようなカタチのエアコンを搭載していますが、他にもいろいろあります。
代表的な物を以下にいくつか挙げておきますので、参考にしてください。


・横置き式
クーラが後付けだった頃の名残を残すエアコンユニットは、こんなカタチをしています。

エバポレータとブロワユニットが助手席にあり、全体が横長になっているため、
横置き式と呼ばれています。
ホンダアコード系、トヨタカローラ、ヴィッツ系などがこのタイプです。
中近東、東南アジア向けのモデルと共用している車に多く見られます。
フィルタはエバポレータ直前に置かれる場合が多いです。


・センタ置き式
BMW、GM(オペル)等にみられるもので、車両中央に置かれるタイプです。
セミセンタ式や横置き式で助手席に置かれていたブロワが中央にあるため、
ステアリングの位置(右ハンドル/左ハンドル)にかかわらず
同じユニットが搭載できるというメリットがあります。
但し、縦方向に大きくなるため、オーディオ等のスペースが狭いという欠点もあります。
エアフィルタは、エンジンルーム内の外気導入口に付けられている場合が多いです。

国産車では、初代インスパイア系、初代エスティマ(ワイド)にも搭載されていました。


エアコンはなぜ臭くなるか?

結論から言うと、臭いの原因はエバポレータで増殖した雑菌です。
放置しておくと、下流のダクト類にまで雑菌が付いてしまい、
車内がしつこいカビ臭で満たされてしまうこともあります。

では、なぜエバポレータで雑菌が増殖してしまうのでしょう?

原因は二つあります。

・エバポレータは水分が豊富
信号待ちの車の排水口から水が滴っている光景、見たことがある人も多いと思います。

・エバポレータはいつも冷えているわけではない
エンジンを止めると、エバポレータの表面は25℃〜35℃と、菌の繁殖には
絶好の条件が整ってしまうことがあります。
炎天下に駐車した場合、エアコンユニット内部の温度は40℃〜50℃になるので、
培養用の恒温室みたいになってしまうのです。

で、結局夏になってエアコン入れると、あのカビ臭いにおいに悩まされることになるんですね。

では、臭ってきたらどうすればいいの?
答はカンタン、雑菌を洗い流せばいいんです。
最近は専用の洗浄スプレーが市販されてるので、ちょっと心得がある人なら簡単にできますよ。

方法を以下に示します。
ベストな狙い場所は、ブロワ出口です。一般的には内気吸い込み口が推奨されていますが、
効果はこっちの方が断然イイです。送風風量はハイの一つ手前くらいがいいでしょう。

ただ、一部の車にはエアフィルタが付いていることがあります。
フィルタの上流からスプレーしても洗浄効果はないので、フィルタを外すか、フィルタの下流からスプレーしましょう。
思い切ってエアコンケースに小さな穴を空けてもいいでしょう。穴はあとで強力なガムテープでふさげばOKです。

ブロワモータを外せばエバポレータに手が届く場合、送風なしで直接吹き付けるのも効果的です。


フィルタがブロワファンとエバポレータの間にある場合
フィルタを外してスプレーしてください。フィルタを取り外すことが困難な場合、フィルタカバーのみ開け、
フィルタ下流にスプレーのノズルをねじ込むという方法もあります。この場合は、送風風量はやや少な目がオススメです。


でもね
本当は、エバポレータは外して表面を中性洗剤ですすぎ洗いするのがいちばんいいんですよ。
または、スチーム洗浄。「流す」のが効果的ですからね。
デンソーサービス等では、ちゃんと頼めば外してすすぎ洗いしてくれると思います。
一旦ガスを抜くので、それなりにお金はかかりますけどね。
冷媒回収機が要るので、ぼくも会社に居る時しかできません。

よく「エバポレータ外さずにやります」といって宣伝してる業者がありますけど、
スチーム洗浄を謳っていない場合、市販のスプレー吹きかけてるだけです。
ハッキリ言ってお金の無駄使い。自分でやっても結果は同じですよ。

お約束の注意事項

本ページで紹介している手法を実施する場合、
質問にはお応えできますが、損害が発生した場合の賠償責任等は負いかねます。
以上を踏まえてトライしてください。